デ二ゾフ「ソナタ」①

毎回お読みくださりありがとうございます😊

このレッスンノートは一つの解釈として、私がフランスで受けた指示をブログに載せています。

 

今回はデニゾフ「ソナタ」について書こうと思います。

 

私は今の師匠に師事するようになってやるようになった習慣が一つあります。

 

それは楽譜の清書です。

 

デニゾフのようにリズムが複雑な曲は、まず清書をします。

私がこれを勧められたのは、ドナトー二の譜読みを始めた時でした。

清書をすると手間は掛かりますが、譜読みが同時にできるので、私には効果的でした。

 

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清書例↓

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お気づきかもしれませんが、私の師匠は清書の時に、演奏がしやすくなる工夫を教えてくれました。

 

まずこれが二楽章のオリジナルの譜面です。

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先程も載せましたが、清書した楽譜の拡大です。

 

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違いが見つかりましたか?

32分音符で表記しているところもありますが、実質16分音符で演奏ができるように書き直してあります。

リズムを身体に覚え込ませるくらい練習は必要ですが、演奏中は他にもやることがたくさんあるので、譜面はガイドラインとして見やすい方がストレスが少なくなります。

 

もちろんオリジナルのリズムを壊してしまうような清書はするべきではありませんが、こうするだけでも、交通整理された譜面になります。

現代曲で譜読みに手間取った時は、ぜひ試してみてください。

 

お読みくださりありがとうございました。

②からは一楽章の内容を書いていこうと思います。

 

ドビュッシー「第一狂詩曲」③

前回に続きブログを覗いてくださりありがとうございます😊

 

今回は中間部分のScherzando から書いていきたいと思います。

ここからは今までと違った毛色のキャラクターが登場してきます。

アクティブにしたい所ですが、冒頭にあったrêveusement の中で起こっているアクティヴィテということを忘れてはいけません。

この曲は最後の最後まで、実態が大っぴらにならない所が大事だと私は思います。

その為ここで出てくるスタッカートはミステリアスな必要があります。

もちろん短いスタッカートが要されますが、舌でベタっと切るスタッカートではなく、お腹から生きた息を短く切るスタッカートという指示がありました。

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以前ストラヴィンスキーでも書きましたが、喉を固めてしまうような奏法だと、全て楽譜に書いてあるニュアンスを拾うことはできません。

クレッシェンドのあとすぐにpまで落ちることができるように、柔軟な状態の喉とお腹の状態で演奏する必要があります。

 

そして7小節目、私はスラースタッカートのようなニュアンスをつけてしまっていた為、テヌートの付け足しがありました🧐

 

続き、地味に嫌な指のパッセージです。

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2度書きますが、地味に嫌な指なのです。安全運転で演奏するが故に、この部分だけ横の流れが止まってしまう演奏を聴くことが時々あります。

ここは出来るだけ軽やかに演奏したい場所なので、一拍づつではなく写真に書き足してあるような大きなスラーを感じましょう。

こういった部分は、すごくフランス語的な感覚だと思います。

 

最後のページ、Plus animéに入る1小節の4拍目でPlus animéでのテンポをピアノに指示を出します。

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時々Plus animé入る時にブレスを取る演奏を聞きますが、ここは取らずに続ける方が良いでしょう。

テンポに関して、Plus animé以前より早くなるわけですが、Scherzando同様、この曲全体のキャラクターの中でのPlus animé ということを忘れない事が重要です。

 

最後の最後までこの曲で特徴的なクレッシェンド→スビトピアノの流れはしつこいくらい丁寧に拾っていきましょう。

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そして、最後の最後にこうくる!un peu retenu からの音楽が私は大好きです。

Au mouvt の部分はSec(乾いたように、素っ気ない、無愛想な、冷淡な)にね!と師匠がありました。

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最後までお読み頂きありがとうございました。

次回は何にしようかな🧐

 

ドビュッシー「第一狂詩曲」②

前回に続きドビュッシーの「第一狂詩曲」のレッスンノートを更新しました。

 

今回は中間部の替え指について書きました。

この曲を吹く方なら、①と②のカッコ内の替え指を一度は探したことがあると思います。

今回新しく教えてもらった替え指があったので、書いてみます。

 

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①のカッコ内はラ♯とシのトリル

下巻の下二つのキーを動かすと綺麗なトリルになります。

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②のカッコ内

こちらは装飾の部分のド♯の替え指です。

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ラ♯からド♯の装飾音符に行く時、通常の指だと滑らかさが足りないと指摘された時に教えてもらったのがこちらの替え指。

音程が低いので、高めにとる必要がありますが、とても滑らかな音色なので、この場面に相応しい音色が得られると思います。

ラ♯からこの替え指に行くのに滑らす工夫が必要なのですが、ぜひ試してみてください🥰

(実は私は別の替え指を知っていたのですが、音程が低いわりに明るい音色でした。コントロールが難しかったので、私にはこの替え指は大変効果的でした☺️)

 

Plus retenuの部分に◯がしてありますが、こことても美しい場所ですよね☺️

私も大好きな場所なのですが、師匠がしてくれた喩えがとても素敵だったので、ご紹介しますね。

「ここは顔を覆ってる扇が動いて、綺麗な顔の一部分が見えるような感じ。ほら浮世絵の見かえり美人のような。扇が動いて顔が少し見えるんだけどまた扇で隠れてしまうの。日本の踊りでも扇ってすごくゆっくり動かすでしょう?あれくらい優美なの。」

 

ドビュッシーも浮世絵に魅せられた一人ですが、こういう所で祖国の芸術が出てくるのはとっても嬉しい🥰

 

 

③に続きます

ドビュッシー「第一狂詩曲」①

今回はドビュッシーの「第一狂詩曲」を取り上げてみたいと思います。

 

前回も書きましたが、これは一つの解釈であり正解ではありません。

おそらく同意できない箇所も出てくると思います。

当たり前です。

しかし音楽のボキャブラリーを増やす上で色々な解釈に触れることは、悪いことだと思いません。

私はフランスのレッスンで受けた指示を、ひとつの引き出しとしてみなさんにご紹介したいと思ってます☺️

 

私はフランスに留学して、フランス語を少しづつ喋るようになり、一つ心から実感したことがあります。

それは

その国の言葉を知らなければ、その国の音楽を演奏する時にフレーズの感じかたに多少のギャップが生じるということ。

 

ヨーロッパと一括りにしてしまえば、簡単ですがフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語etc (挙げていったらキリがない😅)

当たり前ですが、これらの言語、全っーーーーたく違います。

例えばロッシーニはイタリア語そのものの音楽ですし、ベートーヴェンはやはりドイツ語から生まれた音楽だと思います。

 

そしてドビュッシーはフランス語を聞いたことがないと、フレーズの長さに関してピンと来ないのでは?と思います。

 

フランス語ってすごくフレーズが長いのです。

「流れるように読まれる言語」で、「音が綺麗に繋がる事に命をかけている言語」だと私は思ってます。

 

試しに、ドビュッシーを吹く前に、簡単な動画で良いのでフランス語を取り扱ったものを見てみてください。

声楽曲はもちろん映画でもいいし、<communication française >
などで探せば、たくさん日常のフランス語の動画が出てきます☺️

 

さて曲に入るましょう。

まずドビュッシーでとても重要なのは文頭にある「Rêveusement lent」です。

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Rêveusement には夢見るようにや、ぼんやりと、うっとりと。のような意味があります。

師匠は、『霧の漂う中にいるような感じよ。それはすごく美しいの。でも霧だからはっきりしないの。掴もうと思っても掴めないの』と。

ゆっくりなテンポだからと言って停滞してはいけないし、実態がはっきりしないから、この曲はクレッシェンドしてもすぐpまで落ちてしまう。

この音楽はその霧の中での出来事として音楽を作っていく必要があるんだと思いました。

最後の最後まで何か見えそうになっても、すぐにまた元の霧に連れ戻されるような感覚。。。それをするには、やはり長いフレーズ感が大事なってきます。

 

①から3小節目に丸がしてあるブレスマークがあります。

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これは師匠から指示があった場所なのですが、私は今までここでブレスを取ろうと思ったことはありませんでした。

けれど試しにここでブレスしてみると、②までの10小節間大きなフレーズを感じて歌うことができます。

 

今回は前説が長くなってしまったので、②に続きます☺️

お読みくださりありがとうございました😊

 

 

 

 

ストラヴィンスキー「三つの小品」③

今日はストラヴィンスキーの「三つの小品」第三楽章の事について書きたいと思います。

 

私の持っている版には三楽章のページの下に前の版との違いが7箇所載っているのですが、レッスンで訂正があった箇所はこの箇所↓でした。

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私も実際シ♭ではなくシで吹く演奏も多く聴いていましたし、注)を参考にして考えた結果シで吹いていたのですが、やはりここはシのまま♭つけずに。とのことでした。

 

前回も書きましたが、第三楽章は♪=160なので、二楽章よりも気持ち遅くなります。

少しテンポが落ちた中でこの変拍子を感じながら、吹くのがこの曲のお洒落なところだなと私は思っています☺️

 

全体を通して、書いてあることは必ずやります。

・ブレスマーク

・スタッカーティシモ
・アクセント

・クレッシェンド、デクレッシェンド

・sombrer le son subito これはsubito piano という意味です。 sombrerには沈む、物事が消え失せるという意味があります。

 

 

この箇所

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私は学生時代、どうしても息が続かなくて、37小節目で吸っていたことがありました。

でもここは絶対我慢の場所です。苦しいけれど、絶対テンポが前のめらないで、この変拍子を感じて吹くことに意味がある!と私は思ってます笑

今回レッスンで取り上げて思ったことは、本当はブレスが保たれる場所でブレスが足りなくなるところは、演奏中に何か無駄な事をしてることが多いという事でした。

まずは楽譜に書かれている事をシンプルに音に具現化することがすごく大切だと思います。

 

最後の一段、難しけれど、これがなければストラヴィンスキーではない!!!というくらい印象が強い場面です。

57小節目のアクセントは絶対です。

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お腹がしっかり動いてアクセントに為に息を吹き込める余力があるくらい、身体が柔らかく固まらない必要があります。

 

ここの三連符。難しいんです。

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でもここは必ずテンポ通り、絶対走らないこと。そして音程が必ずジャストであること。

音程の差が狭いとグチャと聞こえてここの良さが出てきません。

 

そして最後から二小節前はまだffのままです。フェルマータまではdimはありません。

シ♭は替え指を使って音程が良く鳴りの良い運指で。

そして最後の最後でdimです。装飾のソは大事にしましょう。

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少し前にも書きましたが、必ず喉やお腹が柔らかい状態でいつでも息が吹き込める状態にしている必要があります。

スタッカートに気を取られて、力を入れるあまり身体が硬直してしまうと、とてもヒステリックな楽章になってしまいます。

必ず身体はいつでも柔らかく動く状態にしていることが重要だと思います。

 

お読み頂きありがとうございました😊

また違う曲でもレッスンノートを書いてみたいなと思います。

ぜひご興味のある方は覗いてみてください☺️

ストラヴィンスキー「三つの小品」②

今回はストラヴィンスキー「三つの小品」の第二楽章について書いていきたいと思います。

 

まずこの表記。

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8分音符=8分音符、16分音符=16分音符まではいいとして、次の16分音符が3つ=8分音符。

どうでしょう?読み方によっては16分音符3つの塊は3連符として吹くという事にも取れるような。。。。

これすごく聞いてみたいところだったので、師匠に聞いてみました。

 

結果こういう事でした↓

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ということは、メトロノームを8分音符に設定して練習するときはこういう譜割りになるわけです。

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でも最初の<レ-ド-ミ♭-レ>を一つのグループとして吹くのはすごくソルフェージュ的に難しいので、書いてあるグループ分けで良いのかと思います。

もちろん8分音符でなく16分音符で取るのでも良いのかもしれないですね☺️

 

そしてこの第二楽章は8分音符=168なので第三楽章よりも第二楽章の方がテンポが早いことになります。

楽譜に書いてあるので当たり前といえば当たり前なのですが、よく第三楽章が一番早い演奏を聴くことがあります。すごくコントロールが必要なところだから絶対忘れないでね。と繰り返し注意がありました😅

 

そしてご存知の方も多いと思いますが、◯がしてあるソ♭は替え指を使いましょう。

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さて、フェルマータから先に行きましょう。

ここからは動と静が代わる代わる出てくる場所です。f:id:asanorichan:20200323035307j:image

ニュアンスはppですが、歯切れが良く、エネルギーがppの中にきっちり詰まっているイメージで。

昔何かの文章で、ここはサーカスのクマ使いがクマをタンバリンで調教をしているところなんだ!と書いている方がいらっしゃいました。

なるほど😳そんな感じ!

 

次はmpでニュアンスは先程より大きい表示となりますが、ここは静の部分。前の動のフレーズとはきっちり区別をつけます。

mpの中で大きなスラーを感じてしっかり歌います。

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この控え目なニュアンスの中で妖しさ満点のこのフレーズが私は好きなところだったりします😏

 

そし後半部分は冒頭と同じく、16分音符は16分音符として取っていきます。

最後のフレーズの高いソは難しいけれど、音程が絶対ジャストな指で。でもそうなるとノーマルの指になるから難しいのよねー🤣と師匠。

 

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第三楽章はまた次の会で。

お読みくださりありがとうございました😊

 

 

 

 

ストラヴィンスキー「三つの小品」①

以前に書きましたが、私は現在フランスのコンセルヴァトワールにて音楽留学生としてクラリネットのレッスンを受けています。

受けるレッスンは毎回内容が濃く、新しい解釈に触れる度ワクワクドキドキします。

そんなレッスンをノートを書き残していきたいと思い、ブログに公開することにしました。

もちろん、色々な解釈がありますし、これが絶対ではありません。

でも一つの情報として、知っておくことは自分の引き出しを増やす上でとても大事なことだと思います。

 

ぜひ興味のある方は覗いてみてください☺️

 

第一回目はストラヴィンスキーの「三つの小品」より第一楽章です。

 

テンポ、ブレスの場所、フレーズは絶対守る必要があります。

自分の解釈や都合でブレスの位置を増やしたり、指定テンポよりゆっくり、またテンポを揺らして演奏することは、この作品に関しては厳禁です。

 

ただ一箇所、改定後の譜面を持っている方は注意するべきブレスマークがあります。

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14小節目にあるブレスマーク、私の師匠によると、一般的にここはブレスを取らないそうです。

試しにここでブレスを取らないで吹いてみてください。この一段に一貫性が出てフレーズが流れるようになります。

 

全体を通してですが、

装飾音は急がずしっかり歌います。

 

フレーズの最後の音がスラースタッカートの時、スラーのみの時、しっかり吹き分けてみましょう。

スラースタッカートをより短くというよりは、この曲の性格からすると、スラーのみの場合しっかり最後まで丁寧に歌うことが吹き分けに繋がると思います。

 

次回は第二楽章を取り上げたいと思います☺️