ダブルタンギングの発見 (クラリネット)

クラリネット奏者の誰もが、一度はダブルタンギングを練習しなきゃならない時があると思います。

 

私も今回どうしてもシングルでは追いつかない曲があり「ダブルでやりなさいよ」と言われました。

そうねそうね。と聞いていく。

 

「<タ ra タ ra>って出来るでしょう?」

 

😳😳😳😳😳😳😳😳😳😳

 

ちょっと!ちょっと待って!

「<タ カ タ カ>じゃないの!!!!?」

 

😳😳😳😳😳😳😳😳😳😳😳😳😳

 

自分の認識していた音と違ってビックリ!!

 

まずはみなさんに<タ ra タ ra>の< ra >がどういう音なのか説明する必要がありそうです。

 

フランス語のRの発音は難しく、舌の一番奥を上顎に近づけて息を通した時に出る空気の摩擦音がRなんですが、日本語のハの音に似ています。

 

日本人には難しいのでフランス語の発音で調べると、たくさん動画が出てきます。気になった方は実際聞いてみてください。

 

フランス語は舌の奥の筋肉まで使う発音が多いので、日本人は慣れない筋肉を動かすのに最初苦労をします。

そしてこの<R>の発音、楽器を演奏する上でとても有効だったりします。


①舌骨が下げやすくなります。

舌の奥の筋肉がつくことにで舌骨が下げやすくなります。

舌骨が下がることにより口腔内のスペースが広くなり音色が豊になります。

クラリネットを演奏する上で大事なことかと思います。(多分他の楽器もそうですよね?)

 

そもそも舌骨ってなんなのさ?

という質問の為に写真を載せておきます。

 

普通の状態

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舌骨を下に下ろしている状態

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違いが分かりますか?

 

 

②喉でフラッターがかけられるようになる。

喉でと書いて語弊がありそうなのですが、分かりやすくするために喉と書きます。

舌を震わせるフラッターと、喉を震わせてするフラッターがあります。

喉でかけるフラッターは<R>の発音で使う場所にとても似ていて、舌骨が下がらないと上手くできません。

 

私はもともと舌骨を下げる筋力が少なかった為、フランス語を勉強する前は喉でフラッターをする事が出来ませんでした。

でもフランス語を喋るようになって少しずつ動くようになってきました。

 

ダブルタンギングの話に戻りましょう。

<タ ra タ ra>のra の部分。

今は日本語の< ハ >のような音だと思ってください🧐

 

<タカタカ>でも良いと思うんですが、

<タ ra タ ra>だと< カ >よりもさらに舌の奥が反応して、舌を過度に緊張させることもないので力みが取れ、息が通りやすくなります。

そのためダブルタンギングしやすいんじゃないかなと思いました。

 

西洋楽器の奏法については、やはりヨーロッパが本家なので、どうしたって語学がセットになってきます。

Rの発音のように、語学や発音を知るだけでも、いつもの奏法の幅を広げてくれるのでは?と私は思っています。

 

また日常での発見があったら記事を書こうと思います☺️

最後まで読みくださりありがとうございました😊

 

 

 

 

リュエフ「コンセルティーノ」③

前回はカデンツまで書いたので、今回はその先のAllegroの楽章から行きましょう。

 

冒頭にあった主題が戻ってきますが、後半はより華やかさが増します。

 

私は後半2/4と3/8が入れ替わり立ち替わり登場するところが大好きです。

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どこかの民族舞踊みたい😳💃

 

途中でふっと思い出したようにAdagioの楽章の名残りが出てきます。

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Expressif と書いてあるので、もちろん豊かに歌っていきますが、「sans bousculer せき立てない、押し合わない」と指示がありました。

ここはAdagioの時のような少し後ろ髪を引っ張られるような場面にすることで、このAllegro楽章の奥行きが広がるのではないでしょうか。

 

時々見えるメランコリがあって、この曲は一層躍動感が増すんだと思います。

 

終わりは6連符のパッセージで華やかに終わりに向かいます。

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6連符が始まるとピアノのパートはお休みなので、ついつい少しテヌートをつけて少しゆっくりから始めたくなりますが、ここは必ずインテンポで。

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3/8に変わる終わり3小節も、余計な事はせずにシンプルに軽やかに終わりましょう。

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました😊

 

 

 

リュエフ「コンセルティーノ」②

前回はお天気の話で終わってしまったので笑

今回は曲の内容を☺️

 

冒頭は戯けたようなキャラクターから始まりますが、その中で時々滲み出るメランコリが、なんともおフランス🇫🇷

 

中盤のAdagioの楽章の3連符は絶対走らないように、ねっとりと歌い上げるつもりで。

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カデンツの部分ですが、少し長めに間を取る場所に印をつける指示があったので載せておきます。

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Agagioの流れからpoco animato の指示があり、カデンツに入るため、ここはAdagioからのストーリーが続いている必要があります。

 

 

普段からこういう考え方をしている方も多いかもしれませんが、

私にとって「へぇぇぇ!」と思ったところがあるのでご紹介します。

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上の段の一番右端のフェルマータの後です。

分かりにくいかもしれませんが「」が見えますか?

師匠がしてくれた印なのですが、

こういう区切りで考えると指がスムーズに動きやすいでしょう。と。

でも頭拍をズラしてしまってはいけないので、あくまでも「音列」の捉え方としてです。

 

そういえば、こっちの子供のソルフェージュの課題でこういうのがありました。

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拍子も何もない音列。

これを出来るだけ早く歌いなさいというもの。

 

子供は考える。

 

2個ずつ取ってみる........

うーん。悪くはないけど、流れない気がして早く歌えない。

 

区切らないでつらつら歌ってみる.......
うーん覚えられない

 

そもそも拍子がないんだから、音列が覚えやすい塊を作って歌ってみよう。

「ドレミ・レミファ・ミファソ・ファレミ・ドソ」

「ソファミ・ファミレ・ミレド・ミレファ・ミソ」..........

 

できた!!!!!!!!


私は課題を見ただけだったから、先生が意図する正解が何かは分からないけど、カデンツで登場した音列の考え方は、この課題に実に似ている気がします。

 

特にフランス人作家の曲は、このトリックを知っているとスムーズになる曲が多い気がします🤔

 

なかなか身体と頭が一致しないフレーズができたら試してみてください。

 

後半は③に続きます。

今回もお読みいただきありがとうございました😊

 

 

 

リュエフ「コンセルティーノ」①

今回はリュエフの「コンセルティーノ」について書いていこうと思います。

 

このレッスンノートは私がフランスに来てから受けた指示を記録してます。

一つの解釈として記事を読んでいただけたら嬉しいです。

 

ジャニーヌ・リュエフは1999年までご存命だった女流作曲家です。

 

この作品はパリ国立音楽院のコンクール用に書かれています。

 

コンクール用というだけあって、難しい😅

でもテクニック的なところから音楽的な楽章までギュッと詰まっているので、勉強するのにすごくバランスが良いと思ってます。

 

フランスに来てから、パリ国立音楽院のコンクール用に書かれた作品を勉強する機会が多かったのですが、実は私自身、フランスに来るまではあまりこの手の曲は知らなかったです。(メッサージュやラボーの作品は演奏の機会があるのに不思議🧐)

とは言っても、私も大学卒業してからかなり年月が経っているので、今は演奏する機会も多いのかもしれないですね。

先ほど書いたけれど、曲の長さも内容もすごくバランスが良いから年度末の試験とかに選びやすいんじゃないかなと思います。

 

私が最初にレッスンに持っていった時、師匠に言われた第一声

 

「湿気っぽい!」

 

🤣🤣🤣🤣🤣

 

少し戯けたような、カラッと陽のエネルギーに溢れた演奏でなければ、この曲の魅力はほぼ失われてしまうでしょう。

 

クラリネットのパートはAから始まります。

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Aから4小節を経て主題が始まります。主題がきたら待ってました!といわんばかりに踊り出したくなるようなメロディー。

 

そう!嬉しいのです!!

 

春を待ちに待った動植物が、暖かい陽で目が覚めて、春の日差しを喜んで踊るような。

そう。春は嬉しいんです。

 

日本にいた時はこの春の嬉しさが、分からないでいました。というのも私は生まれも育ちも関東なので、冬もお日様出るんですね。

多分東北地方の方は共感できるんじゃないかな。。。。フランスは冬の間すこししか太陽が出ません😔

毎日厚い灰色の雲がドーンと空を占領して、尚且つ雨が多い😭 

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ずっとこんなだと鬱になります😰

 

でもある日突然サッと光が差すようになるんです。この嬉しさと言ったら!!!!踊り出します🤟🤟

 

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そうしていくうちに少しずつ木の蕾が膨らみ始めて全体が薄ピンクになっていきます。

留学前に日本の師匠がよくフランスの

天気の話をしてくれました。

ドビュッシーの和声みたいな陽が差すんだよって。

 

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来てみて分かりました。

本当にそうだ😳

 

天気のことばかり書いてしまったけれど、大きな衝撃を与えられた事だったので紹介してみました。

レッスンノートは②に続きます。

 

 

 

 

 

片足を上げてた話

学生の頃、ウィーンフィルがアンサンブルで来日していて、コンサートに行ったことがありました。

 

クラリネットはペーター・シュミードル氏!!

人気の公演だった為、演奏者の背後側の席しか取ることが出来ませんでしたが、ウキウキしながらコンサートに行きました。

 

コンサートは今でも思い出すくらい、ワクワク、ドキドキが詰まった演奏で、音楽って生き物なんだ!と肌で感じたコンサートでした。

 

コンサートは終始立奏だったのですが、見ていると、時々シュミードル氏が片足で立ってるのが目に入ります。

最初は偶然かと思いましたが、普段私は絶対片足でなんか吹かなかったので、気になりながら帰宅しました。

 

次の日真似してみてびっくり。

あれ!!?グラグラして片足で立って吹けない😨

 

今なら分かるのですが、これすごく身体の中心を取るトレーニングとしてすごく有効なんです。

 

私はシュミードルさんに直接お伺いした事がないので、どうして彼が片足立ちをしてたか謎なままですが、ポルカやワルツなど軽やかな曲を演奏するのに、わざと片足を上げて、より軽やかな演奏ができるようにされたんじゃないかなと思うんです。。。

 

すごい😳

 

片足を上げて吹けるくらい、しっかりした身体の中心軸があれば、喉が詰まったり肩が上がったりする問題が解決できます。

ぜひ基礎練習の時などに、片足を上げて身体の中心軸を確認してみてください😊

 

 

デニゾフ「ソナタ」③

前回に続きデニゾフのソナタの二楽章について書いていきたいと思います。

 

一楽章は拍子がなかったのに対して二楽章は細かく拍子が刻まれています。

冒頭にallegro giusto とあります。giustoには正確にという意味があります。

機械的なくらいきっちりかっちりがこの楽章にふさわしいでしょう。

 

テンポはallegroですが、ここからのパッセージが明瞭に聞こえるテンポの設定が大事と指示がありました。

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早すぎるとせっかく細かく書かれているリズムがグシャとなって分からなくなるからです。

 

最初慣れる為に、この曲の指揮を振れるようになりなさい。と言われました。

まずは身体が覚えるまで譜読みをすることが重要です。その後に丁寧にこの音程差を捉えていく練習をするとスムーズかと思います。

 

デニゾフブログ①でも書きましたが、譜面を清書するのも良いトレーニングになると思います。

 

そして全体の1/3を占める中音域のシのフラットですが、普通の指だと少し音の抜けが良くありません。

なので私は変え指を使って対応しました。

ぜひ自分の楽器で音程がよく抜けの良い運指を見つけてみてください☺️

 

最後は、音の数が減って気が抜けそうになりますが笑

ここは一番集中を上げるべき場所だと私は思います。

 

私は特にここは清書に助けられたので例を載せておきます。

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最後の最後のシのフラットがpppで一番良い音が出せるように、こだわるとグッと締まった演奏になるのではないでしょうか?

 

今回も読んでくださりありがとうございました。

少し専門的になってしまうため、文字にするとどうかな?と思っているのですが、呼吸についても機会があったら書いていきたいと思います☺️

 

 

デニゾフ「ソナタ」②

前回に続きデニゾフのソナタについて書いていきたいと思います。

 

冒頭から5:4とか5:6など数学的な表記が出てくるため、少し戸惑いますが、この一楽章の中でまず大切なのは微分音を見つけることです。

音程はシャープ、フラット含め6種類あります。

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微分音の運指を細かく記した本もありますが、最終的には自分の耳で音程を探すことが必要になります。

というのも、楽器のモデルやマウスピース、リードなどの仕掛けで個体差があるからです。

 

耳ではっきり音程差が判断できないと結局何をしているか分からない演奏になってしまうので、丁寧に時間をかけて微分音を探すことが必要だと思います。

 

そしてこの一楽章は美しいレガートがなければ、成立しないので、微分音の運指がスムーズに動くようにしっかり覚えることが重要です。

 

冒頭でも書きましたが、5:4や7:6などの解釈についてです。

私は数学が超絶苦手なので、最初意味が分からなく、私が大好きな現代曲に精通しているクラリネット奏者のアルバロに聞きました。(彼のサイトはこちら→https://www.duomutis.com

なんと現在日本で活躍しています。)

音符の種類によって変わってきますが

例えばこの5:4

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これは8分音符、4つ分の中に5つ入れるという事で4分音符の音価になります。

この部分は♩=5連符と考えると分かりやすいでしょう。とのこと。

 

なるほど。この方法で計算していくと、基礎になる音符によって音価が決まるんだなと納得。

 

その要領で7:6も考えてみました。

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レッスンの時、この部分も4分音符1拍の音価で取る指示があったので、あれ?と思い聞いてみました。

 

私は7:6=16分音符6つ分=1拍半と思っていたからです。

師匠に質問してみたところ、ここの7:6は16分音符、3つの塊が2つ=16分音符の6連符と計算したため一拍で演奏する指示を出したそうです。(文字にすると分かりにくい😅要ははこういうことです↓)

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なるほど。。。。。。

でも私の計算方法も間違いではないと言われました。

もしかしたら少し自由な解釈をしていい余地があるのかなと思いました。

デニゾフ自身の指定あるんだったらきちんと記載があるだろうし🧐

詳しくご存知の方がいらっしゃればぜひ教えてください😌

 

この比の表現を用いた部分ですが、もちろんリズムをきちんと取る必要がありますが、それに気を取られるあまり、滑らかさが失われないように注意する必要があります。

この一楽章は二楽章とはっきり対称的に書かれているためレガートでこの楽章は美しく歌いこむ必要があります。

その中で冒頭に指示のあるrubatoを表現するためにこの千鳥足みたいな不安定なリズムを書いたんじゃないかなと私は思いました。

でもpoco rubatoなのでやり過ぎは厳禁です。

 

デニゾフは歪みのような不安定さが非常に美しいと思っていたんじゃないかと思います。

だからたくさん微分音が散りばめられているし、こんな複雑に書いているんじゃないかな🤫

 

今回は長くなってしまいましたが一楽章はここまで。

次回は二楽章になります。

お読みいただきありがとうございました😊